オカルティック・ナイト
怖い話が好きだ。
幽霊より、物の怪が出てきたり異世界に行ってしまったりする話が好きだ。
結構前のブログにも書いたが、両親の影響で私たち三姉妹は怖い話が大好きで、今でも怖い漫画を買ってきたりする。
一番好きなのは私っぽいのだが…。とは言っても、みんな2chらーなので有名な怖い話はみんな知っていたりする。『リアル』や『師匠シリーズ』など。
オカルト好きが高じて、高校生の時にオカルトサイトを立ち上げた。
2chまとめは既にカレーマニアがいたので、私は都市伝説まとめを始めた。
その当時、『奇妙』『実話都市伝説』という有名サイトがあったのだが、その時の私はまだ知らなかった。
有名なプルタブの話やそういったものを集めに集めた。ただのコピペでは飽きられると思ったので、思いっきり主観を交えて記事を書いた。そして、怖さを全面に押し出したサイトしかなかったので、『怖いのに、怖くない』をテーマにし、極力ポップに楽しげに書いた。
結果。知る人ぞ知るサイトになってしまった。おかしいな。
一応宣伝しとこう。
名義は江南一哉、という男の名前になってますが、当時のオカルト界隈は女人禁制な雰囲気があったので男名前にしました。そのうちどうでも良くなって女だとカミングアウトしました。
子供の怖い話好きには目を瞠るものがある。
私たちの学校にも七不思議はあったし、地域にも心霊スポットはあった。
魚屋の隣のブルーシートの下には死体があるだの、地元のヤブ病院には死体が埋まってるだの…。あそこのクリークは『お化け沼』だから引きずられるだの沢山あった。
その中で『お化け屋敷』と揶揄される物置小屋があり、その話を真に受けた小3男子2人組が探検し、その際につかったマッチが消火不良だったらしく、物置が全焼してしまうという事件が発生した。
私はその時高校生であり、小学生のお母さんなどと交流はなかったので、その後どうなったのか詳細は知らない。
中学校の理科準備室には『特定の動作をすると何かが起こる』という曰くつきの彫刻があった。彫刻が理科準備室にある時点でおかしいのだが、その部屋には常に鍵がかかっていて誰も確認できなかった。
しかし3年生になったある日、理科の先生と話していて遅くなってしまった。そこで理科準備室の話を振ると「見る?」とあっさり見せてもらえた。何でも、授業中などは鍵をかけているが、早朝や放課後などは理科準備室でコーヒーを飲みながら仕事をしているらしい。
若干拍子抜けしてしまったが、折角なので見ることにした。
その時訊けば良かったのだ、その噂の彫刻があるかどうか。そして、友達と一緒に見るべきだった。
壁一面に棚。真ん中に設えられた大きなテーブル。窓際の小さな机。小さな机には書類や本が沢山積み重なっている。大きなテーブルにはコーヒーメーカーとビーカーがあった。本当に理科教師はビーカーでコーヒーを淹れるのだ。
噂の彫刻、らしきものを見つけた。首から上だけの、デッサンに使うような真っ白い男性の彫像。棚の一番上にある。私は恐る恐る、『特定の動作』をとってみた。
くっ、と彫刻が動いた。気がした。
しかし、動くと言ってもどう動くのか。気のせいだ。と思った私は、再度『特定の動作』をしようとした。噂の内容は『何かが起こる』なのだ。動くのではない。
でも、彫像がこっちを見てる。
いやいやいやいや有り得ない。と思いながら先生を見遣ると普通にしている。だから別にそんなに怖い事は起きていないはずだ。と冷静に考えた。
…あれ。
……白い彫像に、普通は黒目ってあるんだろうか。
…………多分。…ない。美術部員の誇りにかけて。
「せんせ、ありがとうございました」
丁重に礼を言って、理科準備室の扉を閉めた。
そのまま普通に帰って、普通の日々を過ごしている。
今では、アレは夢だったんじゃないかと思っている。夢を現実と混同してしまった。
尚、書いている途中に思い出せなかったので『特定の動作』と表記したが、思い出した。『彫像に向かってピースをすると、何かが起こる』が正しい。私はあの彫像に向かってピースをして見せた。
今学校の七不思議を思い出していて、連鎖的に思い出したものなので、本当に現実の事なのか自信がない。
でも理科準備室の扉を開けた記憶はある。実際はどうなんだろう。良くわからない。先生の名前も顔も覚えていない。
記憶捏造系オカルトということで!
ではまた、気が向いたら!